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AIS情報をもとに船舶の状況を確認できる「Global Ports Activity Monitor」を提供開始

洋上を航行する船舶は、航行情報を相互に交換するためにAIS(Automatic Identification System:船舶自動識別装置)を搭載することが国際条約によって義務付けられています。Orbital InsightはこのAISによって共有される世界各国の船舶情報を収集・分析し、顧客へ提供するソリューション「Global Ports Activity Monitor」を提供開始しました。

世界の主要な100港をモニタリング可能

AISに含まれる情報は、船舶の識別符号や船名、船種、位置情報、目的地、喫水、航行状態など多岐にわたっており、これを活用することでさまざまな分析を行えます。Global Ports Activity Monitorではこれらの情報をもとに、世界の主要な100港において大型貨物船(コンテナ船)の情報を地図や衛星写真上で可視化することができます。

船舶の状態を地図上に可視化

Global Ports Activity Monitor では、最新のAISデータを1日ごとにほぼリアルタイムで提供できます。コンテナ船についてはほぼ全数に近い情報を把握することが可能で、各地の港湾を行き交う船舶を細かくモニタリングすることにより、投資家や政策決定者の意思決定に役立てることが可能となります。

Global Ports Activity Monitorを提供するきっかけとなったのは、コロナ禍によって世界中のサプライチェーンが混雑・停滞する中で、Orbital Insightに対して世界各地の主要港を出入りする船舶のモニタリングデータのニーズが高まったことにあります。顧客の中には、AISデータをもとに日本の主要自動車メーカーの輸出量を予測したいとリクエストする企業もありました。

Global Ports Activity Monitorでは、船舶数をグラフ化して提供できるほか、顧客からの要望に応じてOrbital Insightが持つデータサイエンスやマシンラーニングの技術を活用し、船舶数が大幅に増減した場合にアラートで知らせるサービスを提供することもできます。

独自のアルゴリズムにより船舶数の異常を検知可能

また、地図上に船舶の位置をヒートマップで可視化することにより、どのエリアに船が多くいるのかを時系列で分析したり、船の滞在時間が長くなっているエリアを把握したりすることもできます。船舶数をもとに港湾の貿易額を政府統計が発表される前に推計することもできます。

顧客からの要望に応じて、決められた100港以外の港湾をモニタリングすることも可能で、コンテナ船以外の船舶の情報を提供することも可能です。また、特定の業種に絞って、メーカーごとに利用する港湾を紐付けることにより、各メーカーの輸出量を比較することもできます。

位置情報だけでなく、滞在日数や航行スピードを解析することも可能で、今後は喫水の位置と最大積載量のデータをもとに荷物量などを推計するサービスの提供も検討しています。

Global Ports Activity Monitorは金融分野における投資判断のほか、海運事業者が船舶の運航ルートを把握して運航計画の改善に役立てたり、分野を問わずさまざまな製品や天然資源のサプライチェーン監視に役立てたりと、幅広い分野において活用できる可能性を秘めています。サプライチェーン監視については、これまで陸域のみで追跡することができなかったのに対して、AISデータを使うことで海上での監視も可能となります。

従来は港湾を行き交う船舶について詳細な情報を把握する方法がありませんでしたが、AISを用いることで精度の高い船舶情報を得ることが可能となります。この新たなサービスにぜひご期待ください。

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