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サプライチェーンの最適化、再構築、刷新をロケーションインテリジェンスで実現するには

価格の上昇や貿易戦争、環境ショック、工場のロックダウンによって発生したサプライチェーンの分断は、今後も続くことが予想されます。しかし、ロケーションインテリジェンスと呼ばれる位置データ分析テクノロジーを活用すれば、変化に対応し、視認性を高め、分断のない円滑なサプライネットワークに変革することが可能になります。

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もしも数年前、Fortune 200に選出されたサプライチェーンの責任者たちに業界の状況について尋ねたら、「費用対効果を高め、サプライヤーのグローバルネットワークを管理し、在庫を厳しく管理している」と答えたでしょう。当時はリーン生産方式やジャスト・イン・タイム方式の在庫管理、シックスシグマ、そしてグローバリゼーションが最盛期を迎えた時代でした。2011年3月に日本では東日本大震災が発生しましたが、地震と津波に襲われ、福島第一原子力発電所の原発事故につながりました。各地の製造工場は閉鎖となり、この大災害は世界中のコンピューター、エレクトロニクス、そして自動車産業に大きな衝撃を与えることとなりました。

2020年に話を進めましょう。アメリカの疾病予防管理センター(CDC)は、1月21日に初の新型コロナウイルスの症例を確認し、その数日後、世界保健機構(WHO)が公衆衛生上の緊急事態を宣言しました。工場のロックダウン、交通網の寸断、パニックによる買い占めが人々の生活の一部となりました。コロナウイルスの世界的流行は、先に説明した東日本大震災とは直接関係がないように見えますが、共通する部分があることにお気づきでしょう。サプライチェーンが分断し、世界規模で商品が不足し、ジャスト・イン・タイム方式の運用が立ち行かなくなったことです。つまり、災害や疫病が発生したことで、グローバルに展開するサプライチェーンの脆弱性が露呈し、多くの企業が採用していた運営方法を急遽変更する必要に迫られたのです。地政学的な緊張、気候変動、そして貿易制限を考慮すれば、サプライチェーンの分断は今後も続くといってよいでしょう。それでは、サプライチェーンの責任者はこのような状況にどう対処したらよいでしょうか。次の災害が起きる前に堅牢なサプライチェーンを構築し、回復力や即応性を高めるためにできることは何でしょうか。

1つのやり方としては、在庫を増やし、何かあったときのために代替の生産能力を確保し、原材料のサプライヤー数を増やしていく方法があります。たとえば、2011年の東日本大震災では、グローバル展開する自動車メーカーの多くが生産方法を多様化し、代替の生産ラインを設営しました。1台の車の製造には3万個もの部品が必要となるため、この方法は非常に大掛かりな対処法と言えるでしょう。

特にグローバル企業の戦略リーダーや、CIO(最高情報責任者)、調達部門の担当者は、リスクを最小に留めつつ、多層化されたサプライチェーン全体の視認性を高め、きめ細かな情報を取得する方法を模索しています。新型コロナウイルス流行前に発表されたガートナーのレポートでは、サプライチェーン全体をエンドツーエンドで可視化(視認性)し、追跡できること(トレーサビリティ)が、サプライチェーンの最重要イニシアティブとなっていました。

今日、視認性とトレーサビリティはかつてないほど重要な要素となっています。サプライチェーンの責任者は、一次サプライヤーだけでなく、その下請けである二次サプライヤーや競合他社で発生するであろう異常事態、機能停止、分断状況について把握しなければなりません。費用対効果に優れた方法で、効率的にビジネス上の意思決定を行うには、情報をほぼリアルタイムで入手する必要があります。運用プランをタイムリーに決めるには、価格や供給に関する情報を入手することが非常に重要です。これにより、運用を継続することができるようになります。

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それでは、地理空間分析を活用したロケーションインテリジェンスはどうでしょう。これを利用して、サプライチェーンの視認性を高め、トレーサビリティを強化し、運用効率を向上できることをご存知でしたか? 衛星画像やコンピュータービジョン、そしてIoTのマルチソースデータを組み合わせたAI搭載の地理空間プラットフォームが、サプライチェーンの解析、日々のアクティビティの監視、異常検出を行い、分断リスクを減らしてくれるのです。

先進の地理空間分析プラットフォームは、生産活動の監視や積み荷の追跡、そしてサプライチェーンの状況を把握および管理して、リスクに関する重要な問題に答えてくれます。

  • サプライチェーンの全プロセスを綿密に取りまとめて全てのサプライヤーを見える化し、リスクや分断が発生しないように監視する
  • 価格や供給のデータに基づいて、タイミングを逃さずに運用上の重大な決定を行う
  • 主要サプライヤーを特定し、依存関係を視覚化してリスクを低減する
  • 混雑している港を特定し、商品を別ルートで配送することで運用状況を改善する
  • 入港が遅れている船を特定し、代替プラン作成する。

ロケーションインテリジェンスツールを導入することで、サプライチェーンの効率的な運用が可能になります。次世代型のサプライチェーン インテリジェンス ソリューションでは、AIや位置データ、自動化を活用して、サプライチェーン管理の複雑さを低減します。これらのソリューションによって、サプライチェーンの配送パターンを分析することが可能になります。また、発注への対応に苦慮しているサプライヤーを特定して警告サインで知らせ、サプライヤーの経営状況に関する健全性チェックを行い、問題があれば代替サプライヤーを迅速に決定することができます。サプライチェーン インテリジェンス ソリューションで最も注目すべきは、調達部門と購買部門、そしてGIS(地理情報システム)アナリストのコラボレーションが円滑に進むことです。それは競争力を生み出すインサイトを導き出し、長期的な差別化戦略を構築していくための共同作業です。

しかしながら、複数ソースのデータを集約し、ロケーション分析や機械学習の手法を組み合わせて、サプライチェーンの全プロセスの分析と監視を行っている企業はごくわずかです。例えば、世界最大規模の消費財メーカー、ユニリーバは、衛星画像や位置データ、AIを活用してパーム油の原材料をモニタリングしています。

消費財や化学製品、そして自動車を生産する企業は、サプライチェーンの視認性とトレーサビリティを高めるため、ロケーション インテリジェンスを活用すべきでしょう。 これまでにない、位置情報を基盤としたサプライチェーン インテリジェンス ソリューションは、サプライヤー エコシステムの変化を探知し、人の目では判断しにくい隠されたパターンを明らかにして、競争力につながるインサイトを数多く提供します。そしてサプライチェーン インテリジェンスは「インダストリー4.0(第4次産業革命)」のビジョンをさらに広げていきます。透過的でデジタル化され、分断のないサプライチェーンを使用したスマートマニュファクチャリングが発展していくでしょう。特に素晴らしいのは、このテクノロジーを森林破壊の防止に適用できることです。資源の調達に対する責任への意識を高め、持続可能な目標に向けて前向きに取り組むことができるのです。

AIを搭載した地理空間データ分析について、また持続可能性(サステナビリティ)の促進に貢献する方法やサプライチェーンの視認性および回復性向上にご興味のある方はこちらをご覧ください。

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