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7つの主要トレンドが、2021年、そしてその先に向けて、サプライチェーン管理のあり方を変革しています。それにお気付きでしょうか。

7 trends in supply chain

あなたが買おうとしているものが高性能コンピューターサーバーであれ、新発売のエネルギー効率に優れた電化製品であれ、はたまたお気に入りの車種の最新モデルであれ、商品の需要が増加し供給が逼迫していることにお気付きかもしれません。品切れ商品や限定在庫商品、そして値上げが日常生活の一部になっています。一例を挙げると、中古車価格は前年比で30%上昇しています。世界的な半導体チップ不足の影響が、産業用および消費者向け製品の供給にも波及しています。新型コロナウイルス感染症の大流行によるトリクルダウン(徐々に浸透していく)効果のために、サプライチェーンは注目を集めることになりました。多国籍企業の経営陣の関心はサプライチェーンに集中しています。最高サプライチェーン責任者(CSCO)は業務改革の使命と、それを実行するための予算を与えられています。本ブログでは、サプライチェーン管理に影響を与えるトレンドのいくつかを見ていきます。

1. 透明性と視認性:

透明性は、サプライチェーン業界でもっとも熱心に議論が交わされている論点の1つです。しかし、サプライチェーンとの関連において、透明性とは何を意味しているのでしょうか。マサチューセッツ工科大学輸送ロジスティクス研究所(MIT Center for Transportation and Logistics)の持続可能なサプライチェーン担当ダイレクター、アレクシス・バイトマン氏によると、サプライチェーンの透明性には2つの要素があります。視認性と開示です。視認性とは、サプライチェーンのあらゆる関連部門で生じるデータを正確に特定し、収集することです。開示とは、その情報を、求められる、あるいは、望ましい水準で詳細に、社内外に伝達することです。

特定の業界、適用される政府の規制、サプライヤー、企業文化によっては、これは手ごわい仕事になるかもしれません。しかも、政府や消費者、NGO、ステークホルダーは、サプライチェーンに関するより詳細な情報を求めています。環境問題や気候変動、社会的責任に対する意識は高まっています。知識の豊富な消費者は、製品の材料や原材料の原産地、サプライチェーンのアニマルウェルフェアや児童労働への関与について質問します。規制は、特に食品業界で、厳格化しています。透明性を備えたサプライチェーンには、コンプライアンス以上の、さらなるメリットがあります。データによると、消費者は、透明性の高い商品により多く支払うことを惜しみません。MITの研究者の調査では、サプライチェーンの視認性を高めれば、企業は消費者の信頼を獲得でき、さらには特定の顧客への売上増加につながることが明らかになりました。残念ながら、従来のサプライチェーンは、十分な透明性が実現できるように構築されていません。そのため、企業はサプライチェーンの透明性向上のため、視認性を高めるソリューションに投資してきました。この領域では、地理空間技術が重要な役割を果たしています。たとえば、ロケーション インテリジェンス プラットフォームを活用すれば、比類ない水準の視認性とトレーサビリティが実現し、サプライチェーン責任者は、情報に基づいて戦略的意思決定を行い、収益の増大とリスクの低減を推進することができます。

Traceability

2. 回復力の向上:

グローバルなサプライチェーン担当者1,300名超を対象として実施されたガートナーの調査では、回答者の87%が、サプライチェーンの回復力を高めるための投資を今後2年以内に実施することを計画していました。CSCOは、回復力の向上と費用対効果の達成、そして、高まる一方の顧客の要望の実現との間に、新たな均衡点を見出す必要があります。サプライチェーンに関する技術の責任者は、何に投資すべきか、どのように優先順位を決定すべきか、などの問題に取り組んでいます。マッキンゼーのパートナー、エド・バリバル氏はMcKinsey on Governmentのポッドキャストで、次のように述べています。「企業や政府の大半は直接の購入先を知っています。しかし、当社の調査によると、リスクが生じやすいのは、サプライチェーンの第2、第3、第4の層、つまりサプライヤーのサプライヤーです」

問題は、大多数の企業は間接的なサプライヤーについて、このようなレベルの詳細で精密なデータを保有していないということです。さらに、サプライヤーの情報は機密情報であると見なされます。従って、リスク評価と回復力向上のための第一歩は、サプライチェーンのエコシステムの全プロセスを綿密に明らかにすることです。AIを活用する地理空間分析により、第2層、第3層のサプライヤーの特定が可能になります。自動異常検出機能を備えた、実地監視ツールに投資することで、サプライチェーンの回復力が高まり、運用効率が向上します。

Anomaly Detection

3. サプライチェーンの高度接続化:

他にもトレンドとして、サプライチェーンの高度接続化と、それに必要な広範な接続を可能にする多層に相互接続された構成要素からなるインフラの出現が挙げられます。企業のサプライチェーンは線形型から、エコシステム全体の関係者すべてが接続され、データを共有する、接続ネットワーク型へと転換しています。IoT、スマートマニュファクチャリング、インダストリー4.0(第4次産業革命)の進展が触媒となってサプライチェーンの変革を推し進め、リアルタイムの視認性の必要性が増し、接続化がさらに進んでいます。接続化した供給ネットワークでは、需要が生じる兆候を探知して対応するクラウドベースのデジタル サプライチェーン プラットフォームなどの次世代ツールが活用されています。輸送におけるリアルタイムの視認性は、サードパーティの物流業者や荷送人、顧客にとって最優先事項となっています。そして、高度に接続化したサプライチェーンは、視認性と回復力を支える基盤となるのです。

Supply Chain Trends

国境をまたぐサプライチェーンは世界の貿易の80%を占め、私たちの日常生活に欠かせないものになっていることをご存知でしょうか。サプライチェーは官民セクターのあらゆる事業の基盤となっていることにお気付きでしょうか。サプライチェーンが分断すれば、製造ラインから小売店、朝の食卓に至るまで、あらゆる場所で大混乱が起こるでしょう。サプライチェーン管理が、軍事防衛に関わる組織だけではなく、規模の大小を問わず、あらゆる業界の企業のCEOにとって喫緊の課題となっていることも当然です。本ブログの第1部では、主要トレンドのうち、視認性、回復力、高度接続化の3つがサプライチェーンにおける実務慣行を変革していることについて考察しました。残りの4つのトレンドを見ていきます。

4. 持続可能な調達

NGOや政府、投資家、消費者からの圧力を背景に、持続可能性(サステナビリティ)が関心を集めています。B2C(企業と消費者間)やB2B(企業間)の取引を行う企業は、環境と社会への影響に対する認識を高めています。多くの多国籍企業では、自社のブランドイメージを守るため、社会や環境に関する基準を遵守するサプライヤーに取引を限定しています。最大手の消費財メーカーでは、大気汚染の軽減や二酸化炭素排出量の削減、森林破壊の防止などの環境問題に真剣に取り組んでいます。一例を挙げると、ユニリーバでは、持続可能性は最優先課題です。この英国を本拠地とする多国籍企業は、自社の広範なサプライチェーンに属するパーム油工場のサプライヤーである可能性の高い大小の農場を個別に特定するため、地理空間分析技術のリーディングカンパニーであるOrbital Insight(オービタルインサイト)の協力を得ています。この技術では匿名化された集約GPSデータを活用し、移動パターンを識別します。対象地域のある地点と工場との間に継続的な往来が認識された場合、両者の間に関係があると推定できます。Orbital Insightのロケーション インテリジェンス プラットフォーム、GOを活用することにより、ユニリーバの持続可能性担当者は収穫された作物がどこから運ばれてくるのかを、個々の畑まで特定して、明確に把握することができるのです。これにより、ユニリーバは森林破壊などの問題が発生する可能性を予測し、適切な対応を取ることができます。

Brazil Soy

気候変動問題が大きな関心を集めている今の時代には、廃棄物の削減につながり、資源の再利用と再資源化を焦点とする循環型サプライチェーンが強く求められています。しかし残念ながら、ケンブリッジ大学の研究によると、循環型サプライチェーンの多くは、当面のところ、局地的で単純な事業に限定されると見られます。

5. アジャイルな(俊敏な)サプライチェーン:

ガートナーによるグローバルサプライチェーン調査によると、サプライチェーン担当者の89%が俊敏性向上のための投資を望んでいます。コロナウイルスの世界的流行の影響で発生した工場のロックダウンや交通網の寸断、必需品の世界的不足のために、サプライチェーンの脆弱性が露呈しました。その結果、サプライチェーンの俊敏性を向上させ、即応性を高める戦略への転換が喫緊の課題となっています。従来のサプライチェーンでは、リーン、つまり、無駄を省き、コストを低減することに重点が置かれていました。他方、アジャイルなサプライチェーンでは、柔軟性と順応性が重視されます。アジャイルであるとは、消費者行動の変化や競合他社の動向、経済状況などの流動的な市場力学に効果的に対応できることです。アジャイルなサプライチェーン実現に向けたアプローチの1つに、高度分析技術の活用があります。起こり得る混乱に備え、需要予測、価格設定、事業リスク分析について情報に基づく意思決定をするために、企業は多額の技術投資を実施しています。異常検出と予測分析により企業の俊敏性が大きく向上し、より適切に混乱に対処できるようになります。

Anomaly Detection

6. リスク管理:

企業の大半は、サプライチェーンに生じるリスクの管理プロセスを定めていません。多くの場合、何から始めるべきかが問題になります。製造業界の多層的なサプライチェーンの場合、たった1つの製品に、多くの国々にわたる幾千ものサプライヤーが関与しています。たとえば、ある自動車メーカーの第1層のサプライヤーは250社です。この程度であれば、追跡し管理することができます。しかし、バリューチェーン全体では、サプライヤー数は18,000社に達します。それに伴い、管理の難しさとリスクも指数関数的に増大します。サプライチェーンの川上から最終段階の組み立てラインに至るまで、原材料を供給するサプライヤーすべてを特定できるでしょうか。多層化したサプライチェーンを持つ企業には、特化型のリスク管理ソリューションが必須です。第1段階は、サプライチェーン全域にわたる追跡を可能にし、直接的サプライヤーの層を超えて視認性とトレーサビリティが得られるツールの導入です。次に、サプライチェーン責任者は、リスク評価の枠組みを構築する必要があります。最終段階は、リスクの監視です。前述のマッキンゼーのレポートでは、サプライチェーンに生じる既知と未知の双方のリスクを、確固とした取り組みにより、実際的な手法で管理すべきであることが示唆されています。継続的なモニタリングが、サプライチェーンに生じるリスクの特定における重要な成功要因の1つであることに留意すべきです。

Ford Dearborn

7. インテリジェントなサプライチェーン:

ガートナーの予測では、サプライチェーンを有する組織の50%が、2024年までに、AIと高度分析機能を活用するアプリケーションに投資を行うと見込まれています。サプライチェーンの世界にすでに浸透している技術には、プロセスオートメーションやクラウドベースの分析、輸送におけるリアルタイムの視認性ソリューションなどがあります。近い将来のサプライチェーンは、インテリジェント化(処理や判断が自動化されている)し、組み込まれたデータやAI、機械学習により運営されるでしょう。サプライチェーン4.0、すなわちサプライチェーンのデジタル化は、IoTやロボティクス、高度分析技術を組み合わせ、サプライチェーンを抜本的に変革し、供給網ネットワークの速度や柔軟性、正確さ、効率を高めます。

製品のライフサイクルが短くなるとともに、製品のパーソナライゼーションも進んでいます。また、持続可能性や倫理性を重視する企業を選ぶ消費者が増加しています。こうしたなか、サプライチェーンの透明性や回復力、即応性が高まり、インテリジェント化が進むでしょう。サプライチェーン変革の旅を始めるにあたり、位置データや地理空間分析を用いたサプライチェーン インテリジェンスをご活用ください。当社のサプライチェーン ソリューションの詳細については、最新の動画をご覧ください。

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