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新入社員が Orbital Insight GO を触ってみた

執筆:Solution Engineer 新井康平

1. はじめに

初めまして。Orbital Insight(以下「弊社」)の新井です。
2021 年 8 月から Solution Engineer として働き始めました。

本記事では弊社が注力して開発しているプロダクト「Orbital Insight GO」について、新入社員の目線から簡単にご紹介します。弊社ホームページや内閣府がまとめている「衛星データを活用したグッドプラクティス集(P32-33)」などで紹介があるのですが、具体的な機能まで踏み込んだ日本語の記事や資料は殆ど存在しません。プロダクトのことをより知りたい皆様、この記事を通して少しでも弊社プロダクトを理解いただけますと幸いです。また少しでもご興味をお持ちいただけたらお問い合わせいただければと思います。

注記事項として、本記事にはプロダクトで使用している機械学習アルゴリズムや使用しているデータについての記載はありません。各アルゴリズムのチュートリアルを実施した結果のご紹介が本記事のメインです。次以降の記事ではそれぞれのアルゴリズムを用いた分析を行った内容をもとに記事を執筆していければと思います。

2. Orbital Insight GO とは

Orbital Insight GO は「世界中で起きている事象を分析するプラットフォーム」です。
(やや抽象化が過ぎるかもしれませんが…)

弊社は 2013 年の創業時より

「Understand what is happening on, and to the Earth」
(地球上で起きていることや地球そのものに起きている事象を解き明かす)

というミッションを掲げて、人工衛星やドローン、気球から取得できる画像データや携帯電話・AIS(船舶自動識別装置)から取得可能な位置情報データなどを収集、物体検出の機械学習アルゴリズムや最適化の手法を駆使して世界中で起きている事象を分析して、クライアントの意思決定をサポートしてきておりました。

その流れを汲み、それまでの画像認識技術を含む地理空間分析の知見・ノウハウを活かし、2019 年にSaaS Platform としてOrbital Insight GO が誕生しました。現在では民間企業・公共機関問わず多くのお客様に GO を使用いただいております。

【弊社提供サービス概要】

3. 機能紹介

この章では、具体的に現在 GO に搭載されている機能の一部を簡単にご紹介します。
下記が紹介する3つのアルゴリズムです。
他にもアルゴリズムが多く存在するのでご興味ある方はお問い合わせいただければと思います。

3.1. Car: 車両検知

最初にご紹介するアルゴリズムは車両を検知するアルゴリズムです。
衛星画像内に存在する車両を物体検出アルゴリズムを使用して検知します。
ここでは対象を「東京ディズニーシー」で分析します。
(有名な場所で頭に浮かんだという理由だけで選択したので何故ディズニーシーで車両検知するのかという問いは投げかけないで下さい笑)

下記が分析処理前の衛星画像です。

そして下記が分析処理後の画像です。検知された車両が紫色の点で表されています。

上記の分析後の画像だけだと本当に車が正しく検知されているのか分かりません。
正しく検知できているか分からない場合は、それぞれの結果を拡大して確認することが可能です。
この拡大画像だと車両(らしきもの)がきちんと検知されていることがわかります。

またユースケースとしては時系列での車の台数を分析することも可能で、結果を可視化することもできます。

今回は私が初めて使ったということもありディズニーシー内で車両検知というテーマを扱いましたが、今後は実際のビジネスにおいて価値のある分析テーマで記事を書いていければと思います。すでに公開されている実際の具体的な用途としては以下が存在します。

・駐車場に停められている車の台数をカウントすることによる売上推計

https://newsroom.haas.berkeley.edu/how-hedge-funds-use-satellite-images-to-beat-wall-street-and-main-street/

・紛争による被害の復興状況監視

https://orbitalinsight.com/blog/using-object-detection-observe-trends

 

3.2. Ship:  船舶

次にご紹介するアルゴリズムは船舶です。

車輌検知アルゴリズムと同様に対象地域内の船舶を検知してカウントします。
ここでは対象を「千葉港の一部」で分析します。
(特に背景の仮説などはありませんが港湾区域面積が約 24,800 ha に及び日本一港湾区域が広い港らしいので検知可能な船が多いかと思い、選定しています。)

基本的には車両と同様なので簡単にご紹介いたします。
分析後の地図はこちらです。

車両と同様にそれぞれの結果を拡大して確認することも可能です。この拡大画像には 2 つ船舶として検知されてます。一つは港に停泊している船舶がきちんと検知されていることがわかります。もう一つは埠頭が船舶として検知されていることがわかります。

弊社で使用している機械学習モデルの精度は正確な数字を公表できないものの極めて高く、高度な画像認識の技術力に裏打ちされていると感じます。テクノロジー企業への投資で有名な Google Ventures や Sequoia Capital などのVCから出資を受けている点も高い技術力の証左の一つだと思います。

一方で、どんなに技術力が高くとも世間で AI と呼ばれる機械学習のモデルは常に正解を叩き出す完全な予測はできず、人間によるサポートなどが必要になります。弊社では Orbital Insight GO の他に Professional Services というクライアントのニーズに合わせたカスタムサポートを提供しており、モデル追加やモデルチューニングやデータの追加を適宜行っております。こちらについてもご認識いただければと思います。

こちらのアルゴリズムは事故発生時に破損した船舶の位置把握や軍事用途に使われています。
https://orbitalinsight.com/blog/which-buildings-were-destroyed-in-beirut

3.3. Foot Traffic: 動態分析

最後に紹介するアルゴリズムは、物体検出とは少し毛色が変わって動態分析です。
携帯電話の GPS を利用して該当エリアにどれくらいの人数が存在するのかを把握します。
ここでは沖縄県の那覇空港から最も近いビーチ「波の上ビーチ」を分析対象にします。

対象のエリアを選択して分析を行った結果が下記です。
該当エリアにどの程度の人数が存在したのか時系列で把握することが可能です。


また対象範囲が広い場合は、範囲の中でどこに人が集まっているのかを知りたい場合はヒートマップで把握することができます。対象のエリア内でビーチ内ではなく国道沿いに人が集まっていることがわかります。



同様のサービスを提供している企業は国内外に多く存在しますが、 Orbital Insight GO 上では人工衛星やドローンから取得できる画像データに加えて、船舶から取得可能なAIS(船舶自動識別装置)データなどと組み合わせることにより、機械学習モデルを作る際の特徴量の種類が増えるなど、広範囲な分析が可能となっている点が特徴であると感じます。

こちらはサプライチェーン監視などに使われています。
https://www.unilever.com/news/news-and-features/Feature-article/2020/how-were-using-technology-to-help-end-deforestation.html

4. おわりに

簡単に Orbital Insight GO についてご紹介しましたがいかがでしたでしょうか。

新入社員として 1か月ほど触ってみた感想としては、改善すべき余地はあるものの最先端の画像認識・物体検出や位置情報分析のアルゴリズムが組み込まれたプロダクトで、軍事産業における活動監視や製造業におけるサプライチェーン監視、金融業界における売上予測への利用など、解決できる社会的な課題の範囲も広いと感じます。

本記事では詳細な分析に焦点を当てずにプロダクトの一部機能を紹介させていただきましたが、今後は今回記載していない機能も使った分析を行い、記事を書いていければと思います。

少しでもご興味をもたれて、最新の状況や、他にどのような機能があるのか知りたい方がいらっしゃいましたら、デモなどで紹介させていただければと思いますのでお気軽にお問い合わせください。

ご連絡をお待ちしております。

【お問い合わせ】

https://jp.orbitalinsight.com/#contact

【執筆者】

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