執筆:Kunio Shimizu, Senior Solution Engineer at Orbital Insight


新型コロナウイルスの流行によって世界中の海外旅行や海外出張は大きく変わりました。

特に訪日外国人の量は、ウイルス流行の直前2019年3,000万人強から2020年は400万にへと大きく減少しました。

inbound
参照:https://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/in_out.html

インバウンド市場として期待されていた外国人観光客はこの2020年、2021年ほとんど国内からいなくなってしまい、観光客がたくさんいた渋谷や各地の観光地も大きく変わっていることを実感しています。

しかし、近いうちにワクチンの普及やウイルスの収束によりまた日本への外国人観光客が戻ってくることが期待されます。

その際、おそらく各国が同時にコロナを収束させ訪日してくるとは考えづらく、それぞれ感染症を克服して国または地域から日本へ旅行しにくるのではないでしょうか?

この記事はOrbital Insightが提供する世界中をカバーする匿名化されたGPSデータと、「どこから来たか」という出発点が可視化できるトレーサビリティーの分析手法を使って以下のことを実施します。

  • – 新型コロナウイルス流行前の海外から日本への流入
  • – 新型コロナウイルス流行中の海外から日本への流入

この感染症で、日本への主に訪日外国人の流入がどう変わったから、また、今後どのようにリアルタイムで変わっていくかのお役に立てればと思います。

国をまたいだGPSデータの人流分析

Orbital Insightで利用できる匿名化されたGPSデータは日本国内だけでなく、世界中の主要国のデータログです。日本国内・国外であろうと、様々な国々で同じような匿名化GPSログ分析が可能です。

更に人流分析の一つであるトレーサビリティ分析では、匿名化されたGPSのログを分析することで、人流の「出発点」や「終着点」そして「そこに至るまでのルート」などを可視化・数値化することが可能です。

なので、ある地点に至るまでの人流の経路や、そこを出発点とした経路を国をまたいで分析することができます。

今回の記事ではこのトレーサビリティ分析を利用した分析を実施します。「終着点」を日本の羽田空港国際ターミナルにすることで、日本へ入国する人流データの出発点を可視化することで、訪日外国人(おそらく日本へ帰国する日本人もここでは多く含まれる)の傾向を可視化します。

分析概要|東京国際空港国際ターミナルへの人流分析

  • – 終着点:東京国際空港国際線ターミナル
  • – 遡及期間(ターミナル到着まで対象分析期間):24時間
  • – 分析対象地域:制限なし(全世界)
  • – 分析期間:
    • — コロナ前:2020年1月
    • — コロナ中:2020年5月

上記の設定をすることで、東京国際空港国際線ターミナルに到着する人流を24時間前まで全世界にマッピングすることができます。また、それぞれ同じ分析を新型コロナが本格的に流行する前の2021年1月に観測されたデータと、緊急事態宣言も発令された2021年5月に観測されたデータで可視化します。

更に、下記のような詳細の設定も可能です;

  • – 移動速度制限:なし
  • – 1地点滞在時間制限:なし
  • – 可視化ヒートマップのグリッドサイズ:100mx100m

新型コロナウイルス流行前(21年1月)の人流結果

下記の図が新型コロナウイルス流行前(20年1月)での日本への人流分析結果になります。

結果はOrbital Insight GOで可視化・確認でき、青いヒートマップが濃ければ濃いほど東京国際空港国際ターミナル到着までの24時間の結果となります。(飛行中のデータは取得できません。)

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ズームなどができるように下記にインタラクティブなマップもご用意しました。(※データがロードするまで少々お時間かかるかと思います。)

https://studio.unfolded.ai/public/5b7d57b7-6307-47c4-88f2-1bc3d4ae3390

新型コロナウイルス流行前は予想通り1月だけでも様々な国や地域から日本へ訪問している人たちがいることがわかります。

東アジアでは、ソウル、上海、北京、香港、台湾などが色濃く出ています。やはり中国からの訪問者は多い結果となりました。

東南アジアやオセアニアも、シンガポール、タイ、ラオス、ベトナム、フィリピン、マレーシア、シドニー、メルボルンなどが目立ちます。突起してタイ・バンコクからの訪問者が多い結果となりました。

北アメリカでは、ハワイ、バンクーバー、カルガリー、トロント、シアトル、サンフランシスコ、ロサンゼルス、ラスベガス、デンバー、ダラス、シカゴ、オーランド、ニューヨークなど、羽田到着まで24時間のみ遡っているにも関わらず、西海岸・東海岸どちらの大きな都市からの訪日が目立ちます。

その他の地域では、ニューデリー、ドバイ、クウェート、モスクワ、カイロ、イスラエル、ロンドン、フランクフルトなどが確認できましたが、24時間という制限のせいかヨーロッパの諸国からはあまりデータの確認できなかったです。

上記インタラクティブなマップでは100mx100mメッシュ粒度まで拡大も可能なので、ご興味ある都市や国などもご確認ください。ほとんどが現地空港へのルートが可視化できています。

新型コロナウイルス流行中(20年5月)の人流結果

そして下記の図が新型コロナウイルス流行中(20年5月)での日本への人流分析結果になります。結果は予想通り一目瞭然です。

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ズームなどができるように下記にインタラクティブなマップもご用意しました。(※データがロードするまで少々お時間かかるかと思います。)

https://studio.unfolded.ai/public/f4b210f8-6f43-491f-a2b3-36a65bb51e31

新型コロナウイルスがいち早く拡大していた中国や韓国からの日本への流入はこの時期ほとんど皆無となりました。

APAC地域では、タイのバンコクかの流入が一番多く、その他マニラ、ジャカルタ、シドニー、シンガポール、ジャカルタなどに少数点在しているように見えます。

北アメリカ大陸からも、コロナ前と大きく減少し、確認できるだけでも、バンクーバー、シアトル、ロサンゼルス、ダラス、シカゴ、ニューヨークのみとなってしまいました。

その他の地域では、ヨーロッパからはほとんど目視できなくなり、かろうじてインド・ニューデリーから確認できるほどです。

これらの中には日本人が多く住まわれている地域もあるので、現地感染拡大による日本人の帰国なども多く含まれるかと思われます。

リアルタイム人流分析で訪日外国人の人流をモニタリング

Orbital Insight GOでは上記のような世界中の匿名化されたGPSデータ分析をほぼリアルタイム(1日前時点のデータ)で分析可能です。

これからワクチンの普及等によってこの感染症が落ち着いて来た時に、素早くどの国や地域からの人流が増えたか、またはその後「国内でどこを訪問しているか」という分析なども、インバウンド市場回復とともに重要になってくるのではないでしょうか?

更に上記でもご紹介した移動速度制限や滞在時間制限などを組み合わせることで、訪日外国人の国内外での移動手段、観光地などの滞在時間も一緒に分析でき、より人流の可視化にお役にたてると思っています。

ご質問、詳細はデモ等などのご希望ございましたら、お気軽に下記へお問い合わせください。

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