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鉄道車両検知アルゴリズムがOrbital Insight GOで利用可能に|スペック・活用方法・事例

執筆:Kunio Shimizu, Senior Solution Engineer at Orbital Insight

Orbital Insight GOで鉄道車両検知アルゴリズムが使用可能に

AI・画像認識を使って、衛星写真から鉄道車両のみを検知しするアルゴリズムがOrbital Insight GOのサービスをお使いのお客様にご利用可能となりました。

衛星・解像度について

鉄道車両検知にはPlanet Labs社のSkysat衛星を利用します。高頻度の高解像度光学衛星画像に分類される衛星で、解像度は1ピクセルあたり約50cmです。

50 cm SkySat imagery of the Mundra Power Plant in Gujarat, India, on April 4, 2020. © 2020, Planet Labs Inc. All Rights Reserved.

撮影頻度・過去画像について

撮影頻度は場所や時期、そして天候などによって大きく変化しますが、弊社が今回この記事の為に分析した地域では、基本的に1〜6日に一回の頻度で撮影されていました。

また、過去画像についても場所によって大きく変化しますが、今回の分析した東京と北朝鮮、中国と北朝鮮の国境地域では、2015年後半から分析可能な画像が揃っていました。

Orbital Insight GOでは分析前であれば無料で対象の場所が過去いつ頃から・どれぐらいの頻度で衛星写真が取られているかを簡単に確認することができます。

鉄道車両検知の結果について

衛星写真からAIが自動検知した鉄道車両は各滑車ごとに検知され、場所・時間・エリアの総滑車数と滑車のポリゴンを結果として描写・出力します。

Orbital Insight GOでは、上記画像のように指定したエリアの鉄道列車滑車の数を過去からの時系列でチャート表示します。

鉄道車両検知の活用方法

衛星写真を使った鉄道車両検知の活用例を2つご紹介します。

対象地域の経済指標のオルタナティブデータとして

島国でかつ国土が小さい日本では、鉄道車両による貨物輸送のシェアはそこまで大きくありませんが、国土の広い国や大陸での鉄道車両による貨物輸送は大きなシェアを持っています。

諸外国の輸送機関別貨物輸送量シェア:Modal Share of Freight Transportation, Selected Countries, 2008 (参照:AT Kearney. In % of ton-km.)

アメリカやロシアなどでは全体の40%もの貨物輸送が鉄道車両によるものだという統計もあります。

更に、各国の貨物輸送量はGDPとある程度の相関も見られ、経済指標の参考値として意味のあるデータだとされています。

アメリカ国内GDPと貨物輸送量の変化率:Ton-Miles and GDP. Source: FHWA Freight Analysis Framework, US Census Bureau

以上のことから特定の地域(Orbital Insight GOでは国全体の分析可能です。)の鉄道車両数をほぼリアルタイムで把握できることは、経済指標をいち早く、そして細かく知れるオルタナティブデータとして活用できるのではないでしょうか?

安全保障への活用

先日、北朝鮮が列車式のミサイル発射台の実験を行ったというニュースがありました。

鉄道機動ミサイルといわれ、ミサイルの運搬が簡単なこと、そして発射直前までトンネルなどに隠して置けることが懸念されています。

広大に広がる山岳地帯の衛星写真から小さな列車をを見つけることは人間にとって労力のかかる作業ですが、AIはまさにそのような処理を得意としています。

広域エリアを定期的にスキャンして、鉄道車両が見つかった際に通知を出すなどのオペレーションをOrbital Insight GOは可能にします。。

事例

今回事例として、2つの場所に新しい鉄道車両検出アルゴリズムを実施してみました。

東京都品川区東京貨物ターミナル駅

東京都品川区にあるJR貨物の貨物ターミナル駅です。衛星写真自体は2015年の4月から確認でき、直近9月末までのデータを Orbital Insight GO で解析しました。

左は新幹線が停車しており、右が貨物列車ターミナルです。停車している貨物列車は滑車ごとに検知できていることがわかります。

中央にある地面の色と酷似した貨物滑車は人間の目でも判別することは難しく、アルゴリズムもあまりうまく検知できてないことがわかります。

中国-北朝鮮国境駅:新義州青年駅

新型コロナウイルス対策で2020年1月から国境の封鎖を続ける北朝鮮が中国との貿易を一部再開したという報道がありました。

そこで実際にどれほど人や貨物の動きが再開したのか中国北朝鮮国境の駅、北朝鮮側の新義州青年駅で鉄道車両検知を行いました。

悪天候により全体が撮影されていない日もありますが、2020年以降確かに新義州青年駅に停車している鉄道車両の量が”増加している”ように見えます。

調べてみるとこの駅は主に客車用のため、中国に行くはず(または来るはず)の列車がここに止められているのかもしれません。

最後に

この記事では弊社鉄道列車アルゴリズムの概要と、活用例、そして2箇所でのサンプルをご紹介しました。

今回は一箇所の駅での分析ですが、衛星写真とAIが得意とする、より広範囲に複数拠点を分析をすることで、より経済活動の全体像を把握できるのではないでしょうか?


詳細にご関心のある方は、お気軽に以下のお問い合わせフォームからご連絡ください。

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